韓国人は何かと歴史認識を持ち出して日本人を責め立てる。しかしその一つである倭冦の被害が高麗崩壊の原因になったというのは嘘である。実際にはもっと直接的に高麗崩壊の原因になったことが有る。それが元を追われた紅巾党が1359年と1361年の二度にわたって、朝鮮半島北部から侵入し北部に有った高麗の首都平壌を占領したことである。


元々紅巾党は白蓮教という中国の秘密結社で各地で略奪をくりかえしてきた盗賊団である。もっとも、たとえ盗賊団でなくとも中国では正規軍でも兵士の報酬として占領した地域で人も物も自由に強奪させていたので、平壌の荒廃ぶり王や貴族、人民までその被害は倭冦の被害云々とは比べ物にならないくらいの凄惨なものであった。


この中華圏の正規軍による略奪の歴史の中で生きてきた韓国人や中国人には、正規軍でも略奪や虐殺をすることがいわば常識になってるので、戦時中の日本軍が中国で略奪や虐殺をしたという主張の原因になっている。それが当たり前だから日本軍もそうしたはずだということを誰も疑わない、むしろ当然と思い込んでいる。


さらに被害を増大させた原因は、紅巾党が首都に侵入する遥か以前の段階で国軍が応戦するどころか、国王が王族や貴族とともに、平壌と人民を捨て、陸と隔たって馬賊主体の紅巾党からは安全な、江華島に避難して首都を江華島にさっさと移転させたことである。


一方倭冦が活躍したのは主に朝鮮南部の海上であり、陸の被害が有ったとしても朝鮮半島南部の沿岸地帯である。朝鮮の歴代の国は中央集権が著しい。高麗も同様で、首都の平壌は立派だが、それ以外はほとんど荒れ地と荒んだ田舎しかないという状況である。そしてすべての物資は陸路平壌に運ばれる。海上の被害につても、朝鮮は新羅の時代から遼東半島から山東半島に渡る中国との交易ルートが確立しており、瀬戸内海や対馬を根拠にする日本近海の倭冦の影響を受けにくい。つまり海洋貿易の一部分での被害はともかく、首都や陸路の物資輸送は倭冦の被害を受けることはない。


朝鮮半島内部の黄海で活動した倭冦は倭冦の名をかたる朝鮮や中国の漁民である。中国の農民や漁民は普段は農業や漁業をしているが、獲物となる旅人や船を見つけると突然強盗にかわる匪賊の伝統が有るつまり強盗が副業な訳だ。現在いわれている日本軍の中国国内での中国人民に対する虐殺といわれている物の多くは治安維持のためこの匪賊の取り締まりをした物が相当数含まれている。何しろ農民と盗賊の区別がないのだから盗賊を取り締まっているつもりで匪賊との戦闘で匪賊側に被害が出ればそれを匪賊側はただの農民が日本軍から攻撃を受けたと言い張ることができるのである。現在米軍がアフガニスタンイラクで悩まされている民兵やテロリストと同じようなことが当時の日本軍にも起こっていた。