よく考えればおかしい!強度偽装マンションの税金投入

*強度偽装マンションの問題で、家賃補助をするのは、例えば震災被害者に対しても行われているので、まだ理解できる。しかし立て替えに税金を投入するのはおかしい。


例えば我々が通常の買い物をしたとする。その製品に不備があって、何らかの損害を受けた場合損害を補償するのは、販売者あるいは製造者である。


国の検査でも見抜けなかったから国にも責任があるという議論がある。しかし、マンションだけでなくほとんどの製品には国の安全基準があるが、安全基準に違反した製品を販売した場合、製造業者が法律違反を問われることはあっても、その基準違反の欠陥製品を購入した消費者に対して代金の返金や損害の補償を国が請け負うことはあり得ない。


今、松下電器の暖房器具のリコールが問題になっているが、事故に遭った被害者に対する補償をするのは松下電器で国が損害を補償することはないだろうし、そのことを誰もおかしいとは思わないだろう。また薬事法に違反する成分が入った中国製の健康食品で、販売業者が摘発されることはあっても、健康被害を受けた被害者に国が補償したことはあるだろうか?


例えば薬害エイズや、薬害C型肝炎などでは国の責任が追求されている。しかし、それは国が早期に危険性を認識していたにもかかわらず、問題を放置していた行政の不作為責任を問われている訳で、今回の強度偽装マンションの建築申請審査の段階で、行政が事前に危険性を認識していたにもかかわらず、問題を放置していたといえれば、行政の不作為責任を追及することはできるだろうが、そういう議論を全く行わないままに、根拠の不明確な税金の投入が決められたことは不思議なことである。


北側国土交通大臣は、税金を投入する理由として、強度偽装マンションが危険な状態にあり、もし地震が起こって倒壊などの被害が出れば、住人だけでなく周辺にも被害が及ぶので、撤去費用を税金でまかなうことは公共の福祉にかなうという趣旨の発言をしている。


一見しごく真っ当でその通りだと思いそうになるが、震度5程度の地震で倒壊する危険性のある建物は、耐震基準が強化された1980年以前に建築された建物を中心にして日本全国にたくさんある。それらの立て替えや撤去費用はすべて所有者の責任にまかされている。もし今回の強度偽装マンションの撤去や立て替えの費用に税金を投入するのであれば当然これらの全国にある古い建造物も税金で解体や立て替え住民の転居費用を出さなければ公平性を担保できないだろう。