中国は靖国問題をたてに小泉首相との首脳会談を拒否し続けている。一方、民主党の岡田前党首や経団連の奥田会長、民社党の福島代表などとは会談をしている。


そして国内の特定メディアは現在の日中関係がぎくしゃくしているのは小泉首相靖国参拝をかたくなに貫いているからだと報道している。


たとえばNHK日中関係問題を報道するとき必ず枕詞として、「首相の靖国参拝問題でぎくしゃくした日中関係』というキャッチフレーズを冒頭につける。問題の原因が中国側の態度ではなく日本側に有るのだということをこのキャッチフレーズを繰り返すことで視聴者の間に刷り込むことを目的にしているとしか考えられない。


それが中国共産党に共感してのことなのか、或はNHK内部の日本政府への批判勢力が中国の態度を利用しているのかはわからないが。意図的に中国の外交戦略に乗っかっている。


実はこの中国政府の外交手法はとても古典的なスタイルである。中国古代の外交戦略や兵法を書いた書物、『六韜三略』には、意訳すればだいたい次のようなことが書いてある。


『敵の国の優秀な政治家が使節として来朝したら、決して何も与えてはいけない。
敵の国の愚かな政治家が使節としてきたら大いに持て成し、贈り物を与えなさい。


そうすれば敵の国ではやがて外交成果を上げることができない優秀な政治家に対する批判が内側から起こって、
優秀な政治家は失脚し、愚かな政治家がもてはやされるだろう。
そうすれば簡単にその国を侵略することができる。』


優秀な政治家=小泉首相
愚かな政治家=その他の中国首脳と会談した人々
国内で優秀な政治家を批判する勢力=特定メディア


こう考えればまさにぴったりである。


もちろん『六韜三略』は日本でもビジネス書としてよく読まれているので、愛読している人は当然中国の戦略がよくわかっているだろうが、まさか古代の兵法の奥義がそのまま現代の政治で活用され、それがまさに本家である中国共産党によってなされているのを目の当たりにすることができるというのは、所詮国家といっても根本は人間であり、その人間のどろどろとした部分は今も昔もそんなに変わらないものということなのか、また策士策に溺れるになるのかどうか、今後の中国共産党の出方というのもなかなか興味深いところでは有る。