読売新聞(2006年4月6日付) 11面


北朝鮮の論理 背後に被害者正義史観

現在、北朝鮮が拉致や偽ドル札問題などで日米の追及に対し、はなはだ理解しがたい回答をその都度行っている。「ならず者国家」の傍若無人な態度に多くの人々が驚愕し、あるいは今ではその理不尽に慣れきってしまったかのようである。しかし、北朝鮮にはある一貫した自己憐憫の論理とでもいうべきものが認められるのであり、以下その解説を試みることにしたい。

2002年5月、とある旅行団で私は北朝鮮港湾都市清津(チョンジン)に入った。予定期間内に帰国できなかったため、行き場所を失って連れて行かれたのである。そのおかげで、途中の山道にある北朝鮮の段々畑を実見できた。旧ソ連の農場というのは、広大な平野にあるのが普通だったが、北朝鮮は山がちの地形であり、農場の多くは実は山にある。その段々畑が耕されずに石ころだらけで、土砂崩れのためか岩がごろごろとしていた。見てはいけないもの
を見てしまった私に、ガイド兼監視員は「先生、わが国はどうしてこんなになってしまったのでしょうか」と、正直につぶやいた。

思えば切ない歴史ばかりこの民族は刻んできた。ところが、朝鮮研究の進歩により、その感慨に浸ることも現今では許されない。日韓併合は日本が強制したと言いたい。しかし、当時の大韓帝国皇帝・高宗が推進したことが、第2次日韓協約の史料で出てきてしまった。「全面的に協力案を拒否することは隣のよしみを保ちがたい。(中略)朕の心は既に述べたとおりだ。そちたち好きなようにはからえ」と高宗は臣下たちにいった。

日本は植民地時代に悪いことばかりしてきた、と彼らは言いたい。ところが、アメリカの学者がそれでは戦後の韓国の企業家たちがなぜ育ったのかわからないと異議を唱え、植民地経営下に近代化が一定程度成し遂げられたことが実証された。

韓国の学者はこのような研究成果を無視と怒号で打ち消そうとしているが、北朝鮮の人々は情報が閉鎖されているので知るすべもない。公平な歴史認識が拒絶される空間で、日本植民地時代に朝鮮から締め出され、戦後帰国した独立運動家たちが作った恨みの歴史観が正史としてひたすら肥大化していった。

アメリカに対する認識も同様である。朝鮮戦争は北が南進し、スターリンが許可を与えたという機密文書が、冷戦が終結したことで出てきてしまった。にもかかわらず、南が北に攻め入り、「アメリカ帝国主義」がそれを後押ししたという侵略の歴史が広く南北で流布されている。アメリカは悪いことばかりしてきた、我々は常に被害者だと言いたい。しかし、戦後の韓国の経済発展がアメリカの援助なしに成し遂げられたとはどうしても考えにくい。

自らの作りあげた被害者正義史観、それが経済の破綻した北朝鮮の今日のプライドの裏側を支えている。日本に対しては「拉致は解決済み」だと言い張り、拉致実行犯を国際手配するというと、「脱北支援のNGO幹部らに逮捕状を出した」と報道する。これらはすべて被害者正義史観のもたらした日本植民地像に対する、彼らなりの「正しい」報復のつもりなのである。

アメリカに対しても、偽ドル札流通で米政府がマカオの某銀行と米金融機関との取引を禁止したことに「不当な制裁」だと反発し、最近では「わが国は被害者だ」と述べるなど、同じく被害者正義史観がその背後にある。「アメリカ帝国主義」に対する「正しい」復讐と開き直りを繰り返しているのである。

古田博司 筑波大大学院教授 東アジア政治思想、朝鮮思想史。「東アジア・イデオロギーを超えて」で第5回読売・吉野作造賞。52歳。


この記事に対する2ちゃんの書き込みの引用


前々から、朝鮮人、韓国人は民族レベル、国家レベルでの自己愛性人格障害で あると考えてきましたが、上の記事を読み、やはりそうかと得心しました。
彼らが、治癒する見込みが無いことも。

彼らが治癒するには、「本当の自分」を受け入れることが前提になりますが、
現実の彼ら自身は、あまりに惨めです。受け入れることは、自分の存在さのものを
否定することになってしまいます。
それで、何時しか彼らは「偽りの自己」の仮面を被ることになったわけです。

しかし、「偽りの自己」が見えるのは彼ら自身のみです。
他の民族、国民は容赦なく、本来の彼らの姿を見て、そして対応します。

ここに彼らの悲劇があります。
「偽りの自己」を他の民族、国が受け入れ、扱ってくれることが彼らの願いですが、「偽りの自己」は、他の民族、国には見えません。
見えないものに対応することは出来ないのです。

本当の自己に目覚めた時、彼らの人格障害は直るでしょうが、
同時に民族としての「死」を迎えることになるでしょう。

なんと業の深い民族でしょうか。

( - 人 - ) 南無阿弥陀仏南無阿弥陀仏


この2ちゃんの書き込み、実は私もこういう考えなんですが、だいたい韓国朝鮮のことをよく理解した人はこういう結論に行き着くみたいですね。